静寂の中に、突然の轟音。堂内に響き渡ったのは、床に槍を叩き付ける音である。
「交流会」の最終日、呉連枝老師は求めに応じて、快く表演して下さった。お疲れにもかかわらず、その見事な動きは、床を傷めないかと会場の管理者を気にされながらも、今までで最高の勢いを感じさせるものであり、会費が例え5万円が10万円であったとしても決して惜しくないくらいに、この場に居合わせることのできた幸福感を味わった。
昨年に引き続き、今年も5月某日、関西の某所にて、少人数で行われた「交流会」は、一般参加の講習会とは一味違っている。しかも、比較的レベルの高い参加者が顔を揃えた場合には、老師の要求も当然、高くなる。内容は、槍および剣の套路が中心なのだが、随所に細かい指示がある。一通り動作を覚えた後の段階でなければ難しい。しかし、要求を満たさなければ、使えるようにはならない。動作の順番を覚えただけで、すぐに用法を習いたがる人達がいるが、条件が整わなければ武術としては成立しないことは明白だ。今回、套路の重要性を再認識させられた参加者も多くいたのではないだろうか。
我々の技術水準は、まだまだ低い。学べば学ぶほどに奥深さを知らされる。為すべき課題は沢山ある。
(2001.5.8作成)