河北省孟村回族自治県は渤海西岸に臨み、北京から南へ二百八十キロにあり、住民のほとんどは五百年ほど前に山西、江
蘇、安徽三省から移住されたものである。特産として小麦、石炭酸含有量の低い綿花、ナシ、リンゴ、小粒ナツメ、しっぽの短いヒツジ、鵞鳥などの農・牧畜産
物が豊富である。孟村回族自治県は一九五五年に建立されたが、三十年このかた、回・漢各民族人民が手を携えて新しい孟村建設に力を入れ経済、文化の面で飛
躍的な発展をとげた。同県で生産された高品質モーター、絹糸編みベルベッチン、メリヤス綿布地、建築用とめ金、炊事用機械、グラインダー、ウェルディング
ワイヤ、耐高圧容器、漢方・西洋既成薬品およびイスラム教の食品などが国内外に販路を開けている。冶金・鋳造工業は急ピッチで発展し、さまざまな製品が作
られており、その生産工程が国内で先進的水準に達している。孟村はすでに中国最大のエルボー生産基地となっている。文化・教育事業もめざましい発展をと
げ、回族中学校、県立病院、映画館、劇場、文化館などがつくられた。
孟村回族自治県はまた、名を知られる八極拳の故郷である。清朝、孟村出身の回族人士呉鐘氏は八極拳の元祖である。力強く、変化に富む八極拳は弱いものを
助けて強いものにうち勝つことができ、中国の武術界で独自に一派をうちたてた。
同県の回・漢各民族人民は、武芸を愛好するという栄えある伝統を受け継ぎ、発揮させて、八極拳の普及を主とする武術活動の展開に大いに力を入れている。
同県には武術協会があるほか、各郷にも武術グループがあり、一人も武術をやらない世帯はほとんどない。近年来、回族青年の劉秀萍(女)、常玉剛、劉連俊の
三選手は全国武術交流試合でいずれも金メダルを獲得した。一九八五年一月、同県は「開門八極拳研究会」を発足させ、全国の十六省・市・自治区から武術界の
代表がそれに出席した。発足大会では、八極拳の名門、呉連枝氏が八極拳研究会会長に選ばれた。呉連枝氏は熱心に弟子たちに武芸を伝授し、多くの人に武術を
推し広めるのに専念。氏は一九八六年に招かれて日本を訪問し、八極拳の拳法について講義したことがある。ここ数年、日本、アメリカ、香港などの国と地域の
武術界の友人たちはぞくぞくと孟村回族自治県を訪れ、八極拳を勉強している。
八極拳の故郷—孟村回族自治県は国内外での影響がますます強くなりつつある。
(孟村回族自治県パンフレットより)