八極拳の技術は独特の風格があり、武林の中でも一段と際だっている。通常どの門派でも見られる“拳打ち脚踢り”のほかに、“崩し撼がす突撃”と“身を貼りつけて進み発する”ことが重視されている。いわゆる近身短打(身を近づけて短く打つ)である。

1.動作干脆、発力爆烈
 八極拳の招式は簡単明了で歯切れがよく、動と静がはっきり分かれている。また発力は非常に大きく、その破壊力は甚大である。
 発力する時は気を全身に満たし、六合を一致させて爆発力を生む。手が到れば脚が到り、身を近づければ力も到る。挨り、膀り、擠し、靠れ、全身到らぬところはない。
 
2.結構厳謹、朴実無華
 八極拳の動作は構成がしっかりしていて飾り気がなく、曲げ伸ばしは明確で無駄な動きがない。そのため動きはすっきりとして見た目にも美しく、素朴で一見単調ではあるが、その実豊満であり、攻撃は的確である。
 剛の中に柔を隠し、発しては直ちに緩め変化する。柔の中に剛を含み、防いでは巧みに千斤を撥くことができ、機に乗じてまた攻める。
 
3.二心穏定、気沈海底
 二心穏定とは中心と重心が安定であるということである。練習にあたっては重心を体の中心に置き、体はまっすぐにして片寄らず、手は体の中心線から離れないように出し、また戻す。
 いかなるときも自然に気を下に沈め、重心の安定を保つことで強大な力を得る。自己の重心を失うことなく、敵の重心を崩し、打ち倒すのである。
 
4.動作霊活、舒展大方
 八極拳の技巧範囲は広く変化の幅も大きい。また動きは俊敏で大きく伸びやかである。
 身法は動物の象形を取り入れており、招式には動物の動作から名付けられているものも多い。例えば蛟龍出水、猛虎翻身、白蛇吐芯など、その精、気、神は皆全身を貫き、自然な動きは敏活で変化に富む。
 
5.健身防病、技撃性強
 八極拳は技撃術として優れているばかりでなく、養生法として、体質や年齢に合わせた方法で練習することで、体を健康に保ち、病を防ぐことができる。八極拳の目的は養身と実用であって、身体を強健にすることが技撃術としての能力向上にもつながるのは当然であるが、とりわけ八極拳の技撃的進攻性はすさまじい。
 術を見て術を発し、相手が打てば自分も打つ。まさに相手に応じて反撃し、同時にこれを制する。八極拳の練功には形があるが実践には形がなく、有形より学び無形の段階に達すれば、人体の八大部位の作用を十分に発揮して、前後左右、上中下のどこからでも連続して攻めることができるのである。
 

(1997作成)


 


Copyright © 2009 Hakkyokukensya All Rights Reserved.